水越武会員が北海道功労賞受賞
高澤光雄
令和二年十一月十八日午前十時から、札幌市の京王プラザホテルで北海道功労賞の贈呈式があり、水越武会員が受賞するので出席するよう、鈴木直道知事から書状が届いた。
水越武氏は一九八八年から弟子屈町に移住し、写真集『森林列島』で土門拳賞を受賞するなど、写真を通じて北海道の自然の魅力を世界に発信した。
今井浩三氏は札幌医科大学学長・理事長として道内の医療教育の振興に尽力、癌研究の第一人者として功績を上げた。
小砂憲一氏は機能性食品開発のアミノアップを創業。道内のバイオ産業の発展に貢献した。
貝沢雪子氏はアイヌ民族の伝統工芸品アットシの第一人者、アイヌ文化の普及と伝承に貢献した。
功労賞贈呈式は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、参加者は訳八十名に制限された。
会員である水越武氏の略歴を列記すると、昭和十三年五月、愛知県豊橋市で生まれる。写真家・田淵行男氏に師事し山岳写真を撮り始め、日本の山岳・森林、ヒマラヤ、北米・シベリアの森林、中南米・ボルネオ・アフリカの絶滅が危惧される熱帯雨林、温暖化により後退する氷河など、世界のさまざまな自然を対象に創作活動を続けてきた。そこに通底するテーマは、一貫し地球の生態系に対する哀しみと同時に危機感であり、国内外での個展に開催や写真展への出品。十一冊に及ぶ写真集やエッセイ集、専門誌や新聞への寄稿、講演会などを通じて、問題意識を問かけている。こうした活動により写真集『森林列島』で写真界の直木賞とも言われる「土門拳賞を写真集『知床・残された原始』などで「芸術選奨文部科学大臣賞」を受賞、その作風は、自然のダイナミズムやその変化を力強く撮影したものが多く、特にモノクロームによる作品は豊饒で深みのあるモノトーンの世界から撮影者が味わった驚きと感動が静かに沁み透るように伝わってくると評価が高い。
《北海道における写真文化振興への功績》昭和六十三年に屈斜路湖畔に移住後も精力的な活動を続け、写真集『カムイの森』や「知床・残された原始」などを通じて、北海道の魅力を広く世界に発信してきた。道内各地で個展を開催するほか、北海道立近代美術館や札幌芸術の森美術館での展覧会への出品。北海道立文学館主催写真展への企画協力など、写真芸術の普及に努めるとともに、「第六〇回記念写真道展」の審査委員長に就任するなど、北海道の写真文化振興に大きく貢献している。
<表彰歴>
平成3年日本写真協会賞年度賞・写真集『日本の3原始林』岩波書店。
平成6年講談社出版文化賞写真賞、『写真集HI6MALAYA』講談社。
平成11年第十八回土門拳賞・写真集『森林列島』11岩波書店。
平成20年芸術選奨文部科学大臣賞・写真集『知床20・残された原始』岩波書店など。
平成23年弟子屈町文化賞
平成25年北海道文化賞
平成27年文部科学大臣表彰「地域文化功労」